自己破産の弁護士費用はいくらかかる?
失業や病気、事業の行き詰まりなどで借金の支払いが出来なくなることはあります。
「どれだけ頑張ってもこれ以上は返済出来ない…」ということころまで追い込まれていたら、自己破産を検討しましょう。
自己破産と言うと、とても怖いイメージを持っている方も多いと思いますが、実際はかなりメリットの多い制度です。自己破産が認められれば、借金は原則として全額免除になり、その後は督促を受けることもありません。
その代わり、財産は原則没収されますが、身の回りの品や家財道具、当面の生活費については、破産しても手元に残すことが出来るので、家や車といった高価な財産がそもそもない人については、それほど恐れる必要はありません。
しかし、自己破産を行なう上でもう一つ心配なのは弁護士費用です。自己破産せざるを得ないほどお金がないのに、弁護士費用を支払う余裕など普通はないでしょう。
そもそも一体いくらかかるのかも検討がつかず、不安になっている方も多いと思います。
一体、自己破産する上で、弁護士費用はいくらぐらいかかるのでしょうか?また、弁護士費用が用意出来ない場合は、どうしたら良いのでしょうか?
このコラムの目次
1.自己破産を自力で行なうことは可能か?
自己破産の弁護士費用の解説をする前に、自己破産を自力で(弁護士に依頼せずに)行なうことの可能性を検証します。
(1) 自己破産は裁判所を使用する厳格な手続
自己破産は、上手くいけば借金を全額免除して貰える制度ですが、免責(借金が0になること)を受けるには、裁判所の厳格な手続を経なければなりません。
裁判所に免責の許可決定を出して貰うには、自己破産やむなしと判断するに足るだけの資料の提出が求められます。その手続は複雑で、提出書類も多岐に渡ります。
提出資料に不備があると、自己破産の申立が出来ないので、細心の注意を払わなければなりません。
また、自己破産手続では、裁判所にも出席をしなければならず、慣れない中で裁判所からの呼出しに応じるのは非常に大変です。大抵の人は、裁判所に呼ばれた経験はないと思いますので、大きな負担となるでしょう。
(2) 自己破産には条件がある
自己破産にも条件があり、希望をすれば誰でも出来る訳ではありません。
裁判所に自己破産を認めてもらうには、次の2つの要件を満たす必要があります。
自己破産を自力で行なう場合は、何らかのミスで以下の要件を満たせなくなる恐れがあり、その点もネックです。
支払不能の判断
自己破産の第一の要件は「支払不能」であることです。支払不能とは、自分が払えないと思っているだけではダメで、裁判所が見て客観的に支払不能であると認められなければなりません。
支払不能と判断されるには、負債額、収入、資産、そのほか支払能力などを総合的に勘案されます。
収入が少なくても、資産が多ければ、支払不能とは認められません。反対に、収入が多くても、負債額が莫大で到底支払いは出来ないと判断されれば、支払不能に当たります。
支払不能に該当するかどうかはケースバイケースですので、専門家の判断が必要です。安易な自己判断で自己破産の申し立てをすると失敗をする恐れがあるので、自己破産を自力で行うのはやはりリスクが高いと言えます。
なお、自己破産では、個人再生と異なり、手続利用の要件として、負債総額に上限は設けられていません(逆に、負債総額の下限もありませんので、負債総額がそこまで大きくなくても、返済能力が皆無であれば、支払不能との認定になります)。
免責不許可事由の検討
自己破産には、免責不許可事由が法律で定められており、これに該当する場合は、原則として、免責を受けることが出来ません(法律上、免責不許可事由に抵触する場合でも、裁判所の裁量で免責を受けられる余地はありますが、あくまで裁量であって、免責されるという保証はありません)。
免責不許可事由はいくつかあり、財産隠しや裁判所への虚偽申告などが当たります。
また、特定の債権者だけに優先して返済を行ない、債権者間の平等を損ねる偏頗(へんぱ)弁済や、自己破産する前提で(返済が出来ないことを承知で)借入れを重ねることも、免責不許可事由に該当します。
その他、浪費やギャンブル・投資で借金を重ねて自己破産に至るケースも免責不許可事由です。
自己破産を自力で行なうと、免責不許可事由に該当する行為が分からないので、知らず知らずのうちにルール違反をしてしまう可能性があります。
例えば、お世話になった人に迷惑をかけたくないなどの思いから、少しでもお金を返してしまうと、偏頗弁済に当たり、最悪、免責が受けられなくなる恐れがあります。
人情として分からなくはないですが、自己破産では、こうした、一部の債権者だけを特別扱いする行為は厳禁です。
免責不許可事由に当たるかどうかは、素人判断では難しいので、実際問題として、自己破産を素人の債務者が自力で成功させるには相当の困難を伴います。
(3) 弁護士の協力は必要不可欠
自己破産を自力ですると、裁判所への提出書類の準備から裁判所への出席、要件クリアの判断を全て自分で行なわなければなりません。これらは法律の専門知識が必要となるので、自分で完璧に行なうのは非常に難しく、弁護士の協力が必要となります。
自己破産手続を弁護士に依頼すれば、書類準備のサポートを受けられますし、裁判所へは代理人として出席して貰えます。
また、弁護士は、免責不許可事由についても熟知しているので、免責を受けるために適切なアドバイスを受けられるでしょう。
2.自己破産の弁護士費用
自己破産は自力で成功させるのは難しいので、弁護士に依頼をするのがベストです。
ここからは、気になる弁護士費用について詳しく解説していきます。
(1) 報酬の種類|相談料・着手金・報酬金
弁護士費用には、相談料・着手金・報酬金の3つがあります。
弁護士の相談料の相場は30分5,000円ですが、初回相談に限って無料とする法律事務所もあります。
この点、泉総合法律事務所では、自己破産のご相談は、何度でも無料です。
その他、着手金と報酬金がありますが、相場としては20~40万円ほどでしょう(事務所によって異なります)。
泉総合法律事務所における自己破産の弁護士報酬は、次の通りです。
- 同時廃止…23万円(事務手数料別途3万円)
- 管財事件…32万円(事務手数料別途3万円)
管財事件とは、破産手続のうち、裁判所によって破産管財人が選任される手続のことであり、これに対し、破産管財人が選任されない手続のことを同時廃止と呼びます。
管財事件となった場合、代理人の弁護士費用とは別に、裁判所が選任する破産管財人の費用(最低20万円とされています)も、破産者が準備する必要があります。
ところで、債務者が代理人弁護士を付けずに自力で申立をした場合は、申立書やその添付資料の中身に関しては、専門家である弁護士による事前のチェックが入ってない訳ですから、申立を受けた裁判所としては、原則として、管財事件にした上で、破産管財人に内容をチェックさせる運用となるでしょう。
(2) 裁判所への予納金
自己破産をする時には、予納金や事務手数料が必要です。
横浜地裁で必要な費用は下記の通りです(2020年4月現在)。
【同時廃止手続】
収入印紙:1,500円
予納郵券:84円×債権者数(封筒貼付分のみ)
官報公告費用:11,644円【管財事件】
収入印紙:1,500円
予納郵券:84円×債権者数(封筒貼付分のみ)
予納郵券:960円(内訳:84円切手×10、10円切手×10、1円切手×20)
官報公告費用:15,217円
管財人費用:20万円~
3.弁護士費用の支払いが厳しいという方へ
(1) 初回相談無料を活用することをお勧め
自己破産をするときは、手持ちのお金も僅かかと思います。相談料を払うのも厳しい方も多いでしょう。
その場合は、初回相談無料の事務所の利用をお勧めします。
最近は、自己破産の初回相談を無料にしている事務所も多いので、費用の心配がある方は、積極的に利用をしましょう。
(2) 分割払い可能な事務所も多い
前述のとおり、自己破産の弁護士費用は20~40万円程度が相場です。自己破産をするときは、この費用の準備だけでも負担に感じるでしょう。少なくとも、自力で一括で準備出来る状況にないことが殆どかと思われます。
その場合は、分割払いに対応している事務所を選ぶことをお勧めします。
債務整理に力を入れている事務所は分割払いに対応していることが多いので、遠慮なく相談をしてみましょう。
(3) 受任通知で支払いを止め、弁護士費用を積み立てる
自己破産をするときは、弁護士費用の工面も心配かと思いますが、弁護士の受任通知を債権者に送れば、債権者から本人への督促(電話や手紙での支払請求)はストップします。
以後は、借金の返済をする必要もないので(逆に、返済をすると、前述の偏頗弁済の問題が生じる危険があります)、従来返済に充てていたお金を、弁護士費用の積立に回すという手もあります。
分割払い対応の事務所なら、無理なく費用を支払えることもあります。
ただし、弁護士が受任通知を出しても、実際に破産手続が開始されるまでの期間は、訴訟や差押・強制執行といった手続は止められません。
したがって、既にこうした手続が始まっている、あるいは差し迫っているような場合は、可能な限り積立期間を短縮する手段を模索すべきかと思います。
4.費用の心配をせず、自己破産は弁護士へ相談を
自己破産をするときは、弁護士費用が支払えるかどうか心配になる方も多いと思います。
弁護士費用が右から左に払えるくらいであれば自己破産には至っていない、というのが正直な思いでしょう。
しかし、自己破産手続きを自力で行なうのは非常にリスクが高いので、やはり弁護士に依頼をするのが一番です。
最近は手持ちの費用がなくても応相談の事務所も多いので、お金がないことで諦める必要はありません。
泉総合法律事務所新横浜支店は自己破産の解決事例が豊富にございます。
また、自己破産の相談は何度でも無料、弁護士費用は分割払いに対応しておりますので、どうぞ費用の心配をすることなくお気軽にご相談ください。
-
2020年3月13日債務整理 新横浜で債務整理をするなら弁護士へ相談を
-
2020年3月13日債務整理 個人再生すると住宅ローン支払い中のマイホームも守れる?
-
2020年3月13日債務整理 自己破産すると保証人にはどんな影響がある?