債務整理

個人再生をすると家族や職場にバレる?

「個人再生をしたい。でも家族にバレたくない」「職場に個人再生したことがバレてしまったら解雇されるんじゃないか?」などの疑問を持っている方は多いようです。

実際に、借金を抱えていることを周囲に隠し通したまま個人再生することはできるのでしょうか?

この記事では、個人再生をしたら周囲にバレるのか、バレたとしたらどのような影響があるのかについて説明していきます。

1.個人再生とは

個人再生とは、借金を整理できる「債務整理方法」の1つです。
借金総額5,000万円以下の人が裁判所に申立てることができ、借金を最大10分の1まで減額できます。

個人再生手続後は、残った借金を原則3年で分割返済していくことになります。
個人再生を利用するには手続後に返済を続けられるだけの資力が必要とされ、安定した収入がなければいけません。

また、個人再生には住宅ローン特則という制度があり、それを利用することで持ち家を残すことができます。

2.個人再生は周囲にバレる?

(1) 家族

個人再生を行う場合、同居している家族にはバレる可能性が極めて高いです。

では、何故同居の家族には個人再生がバレる可能性が高いのでしょうか。

①家族分を含めた必要書類を集める必要がある

個人再生を行うには、過去2ヶ月分の同居家族全体の家計収支表や収入証明書が必要です。
働いている配偶者からそれらの資料を集める必要がありますので、「給与明細を貸してほしい」などと言った際に怪しまれてしまう可能性が高いです。

逆に言うと、家族のお金の管理を1人で全て行っている場合、書類は全て自分で収集できます。そのような場合、家族にバレる可能性は低いでしょう。

②裁判所や債権者から届く郵便物

個人再生を行う際は、裁判所や借金をしている金融業者(債権者)からの郵便物を多く受け取ることになります。
その郵便物を家族に見られてしまうと、個人再生をしようとしていることはバレてしまうでしょう。

実際には、弁護士に依頼して個人再生を行う場合、個人再生に関する郵便物は全て弁護士のところへ届くようにお願いすることができるので、家族に見つかる心配はありません。

しかし、弁護士に依頼した直後に督促状が家に届いてしまい、家族にバレてしまう可能性もあるでしょう。入れ違いとなるケースを防ぐためにも、弁護士への依頼は早めに行うことをお勧めします。

なお,かりに、個人再生の申立てをする前に債権者から債務の返済を求める訴訟を起こされてしまった場合、裁判所からの訴状は債務者本人の自宅に届きます。これは,弁護士に個人再生手続を依頼していても避けることはできません。

③クレカが使えない、ローンが組めない

個人再生をすると、信用情報機関のブラックリストに載ります。

ブラックリストに載ると、現在手元にあるクレジットカードは一切使えなくなります。

また、個人再生後5~10年は新しくクレジットカードを作ることはできませんし、ローンも組めません。個人再生をすると、その後一定期間は、「借金」と呼べるシステムは一切利用できなくなるとお考えください。

これにより、車などの大きな買い物をしようとした際、ローンが組めないことを不審に思われて個人再生の事実が発覚してしまう可能性があります。

④官報に載る

個人再生をすると、官報に氏名と住所が載ります。官報とは、政府が毎日発行している機関紙で、法律や政令の情報、破産情報などが載ります。インターネット上でも無料で直近30日分の官報を読むことができます。

個人再生によって、手続の進むたびに計3回、官報に自分の氏名と住所が載ることになります。

ただし、一度に載る人数が多いので、その中から特定の1人を見つけるということはとても困難で現実的ではありません。
また、ネットに上がっているPDFファイル化された官報は検索をかけて名前をヒットさせられる仕様とはなっていません。

よって、官報に載ったことが原因で家族にバレるということは(絶対とは言い切れませんが)ほぼないと言って良いです。

⑤家族が保証人や連帯保証人になっている場合

主債務者が個人再生をすると、債権者から保証人や連帯保証人に請求がいく可能性が高いです。
そのため、家族が債務の保証人や連帯保証人になっている場合には、家族にバレることは避けられないでしょう。

(2) 会社

(1)では家族にバレる可能性を説明しましたが、次は職場にバレてしまうのかどうかを解説していきます。

先に結論だけ述べると、会社から借金をしていない限りは勤務先に借金の事実はバレにくいと言えるでしょう。

この章では、職場にバレてしまうケースを細かく説明していきます。

①会社から借金をしていた

会社から借金をしていると、個人再生を行ったということは確実にバレてしまいます。

個人再生をする際、裁判所は各債権者に対して通知を送ります。一部の債権者を手続きから外すということはできません。

よって、会社から借金をしている場合は、会社が自分の債権者となっているということなので、例外なくバレてしまいます。

②周囲に相談する

借金や債務整理について他人に相談してしまうと、そこから噂が広まる可能性はあります。

信頼している相手に相談しても、偶然第三者が聞きつけてしまう可能性もあるでしょう。

債務整理をしていることを職場にバレたくない場合は、絶対に借金のことを会社の人には話さないようにすべきです。

③官報に載る

家族のケースと同様に、官報で会社にバレることもほとんどないと言っていいでしょう。

もし、会社で官報を取っている場合も、それは破産者の名前を見るためではなく、法律の制定の確認など別の目的であることがほとんどなので、それでバレてしまうことはほとんどないです。

④退職金見込額の証明書でバレる

個人再生では、資産の処分が求められない代わりに、自己破産をしたときに処分して債権者への配当にあてる金額(清算価値)以上の総額を分割弁済しなくてはなりません(清算価値保障の原則)。

この清算価値を調査するために、現時点で会社を退職した場合の退職金の金額を裁判所に報告する必要があります。退職金も債務者の資産だからです。

そこで、会社の経理部門に退職金額証明書を発行してもらう必要があるケースがあり、その場合、証明書の使途を尋ねられるかも知れません。

正直に答えずに、「車のローンを組むため」などの言い訳ですむ場合もありますが、会社によっては不審がられてしまう危険もないとは言えないでしょう。

なお、会社の賃金規程等から現時の退職金額の算出が可能な場合は、賃金規程の写し裁判所に提出することで済む場合もあります。

3.個人再生したことが家族や職場にバレるとどうなる?

個人再生がバレないように立ち回ったとしても、どうしてもその事実がバレてしまうこともあるでしょう。

では、実際にバレてしまった場合に、生活にどのような影響が及ぶのでしょうか?

(1) 個人再生だけを理由にした離婚はできない

まず、個人再生をしたこと、借金をしていたことだけを直接の理由にした離婚は成立しません

民法には「法定離婚原因」というものがあり、裁判所を介した離婚の場合はこれらが参照されることになります。

法定離婚原因

  • 配偶者に不貞な行為があったとき
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  • その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

以上が法定離婚原因です。

この中には「相手が借金をしていた」「債務整理をした」といった内容はありません。
しかし、借金を抱えていて生活費を払わないケースであったり、夫婦生活を破綻させかねないほどの借金であったりする場合は「悪意の遺棄」や「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」とされる可能性があります。

また、度を越えたギャンブルやブランド品、風俗店通いなど、家族の為ではなく個人の欲求や利益を目的とした借金も、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当し、離婚に至ってしまう可能性はあります。

(2) 債務整理を理由に会社に居辛くなる可能性

「会社に個人再生したことがバレたら解雇されるのでは?」と考える方もいますが、そんなことはありません。

債務整理を理由とする解雇は法律で禁止されています(労働基準法19条1項本文)。もし解雇されてしまった場合には、不当解雇として裁判を起こすこともできます。

しかし、もし会社にバレてしまうと、「借金を返せなかった人」として、お金にだらしない人というレッテルを貼られてしまうかもしれません。

仕事自体に直接の影響がなかったとしても、債務整理を行った人に対して偏見の目を向ける人は多く、職場での人間関係が苦しくなってしまうことは容易に想像できます。

実際、債務整理が会社にバレて解雇通告を出された場合、裁判をするのではなく転職を考える人が多いです。会社に居辛くなってしまうのもそうですし、不当解雇を取り消す裁判にかかる手間や時間がかかりすぎることがその原因となっています。

以上のことから、できる限り職場にはバレないように個人再生を進めるべきと言えるでしょう。

4.個人再生がバレたくないなら弁護士へ相談を

いかがだったでしょうか。今回は個人再生が周囲にバレてしまうのか、バレるとどういう影響が及ぶのかを解説してきました。

同居している家族にはバレやすいと言えますが、職場や近所の人にバレるということはほぼないと言えるでしょう。

借金に悩んでいる場合、個人再生などの何らかの対策を早急にすべきです。

もしできるのであれば、債務整理を行う前に、勇気を出して家族に相談してみるのが一番いいでしょう。
しかし、どうしても家族に相談できない場合、そのままにするよりは弁護士に相談した方がまだ借金の事実はバレにくいはずです。

弁護士は、数多くの債務整理の相談を受けていますから、相談者様にとって適切な対応をアドバイスることができます。

借金に悩んでいる方、個人再生などの債務整理を考えている方は弁護士にご相談ください。

泉総合法律事務所の電話相談は何度でも無料になっております。お気軽に電話でご相談ください。

泉総合法律事務所の「新横浜支店」は、停止しております。
皆様には大変ご迷惑をおかけしますが、何卒ご了承のほどお願い申し上げます。
ご用命の方は、近隣の支店をご利用ください。
泉総合法律事務所の
神奈川県エリアの支店を探す